私はいつも、シャワーをした後、既に克朗が眠ってから、ベッドに入る。 シーツの隙間から、微かな衣擦れの音がするのを極力押さえて、彼が起きないようにそうっと。 そうして、頭を克朗の胸の上にそっと、乗せるのだ。 多少湯冷めして、冷たくなった身体に彼が驚かないように、少しづつ。 克朗の身体に腕を回して、少しだけ、ぎゅっとする。 と、彼は私を無意識に抱き返し、 寄せた私の額に頬をすり寄せてくるのだ。 それが、無意識だというところが、たまらなく愛しくて、それで私は克朗の後からベッドに入ることを楽しみとしている理由。 少しだけ伸びたひげがじょり、と当たる。 それすら心地よいと思えるのだから、恋の病というのは大病だ。 彼女は、いつもちょっと湯冷めしてからベッドに入ってくるのだ。 まぁ、女の人は、風呂上りは忙しそうだし、必然的に寒い冬はそうなるのだろう。 俺がとっとと出て、いつも先に寝ているのは、ベッドを温めるためなのだ。 そうして、段々と睡魔に襲われかけたふわふわした時、大抵彼女はベッドに潜り込んでくる。 それでも俺を気遣ってか、すごくすごく丁寧に割り行ってくるのだけれども。 次第に彼女は俺を抱き枕のように、ぎゅうっと抱きついてくる。 しっかりと頭を俺の胸に乗せてしがみついてくるものだから、 とても愛しくなる。 お返しに優しく抱き締めると、満足したように、そのまま彼女は眠りに落ちるのだ。 本当はそのまま襲ってやりたいところだが、気持ち良さそうに眠り始めた彼女に、悪さはできなくて。 いつもその寝顔を見て、俺も寝付くのだ。 その安らかな寝息が子守唄のように俺の中に響くので、きっと同じような顔をして、眠っていたりするのだろう。 柔らかな、幸せを。 |