「ねぇ、クリフト。合体するスライムって、いるんですってね」
「はい、そんな種族もいると聞いたことがあります」
「でね、そのスライムを切りつけるじゃない?」
「はぁ」
「すぱっと切れて、まためにょーんてくっついたり、しないのかしらね?」
「はぁ」
「そうしたら、なかなか勝てないわよね」
「そうですね。困りますね」
ときたまエッダさんは、こうして他愛も無い質問を私にぶつけてくることがあるのです。
それがとても不思議だったり、お答えづらかったりすることが多いのですが、
他の誰でもない、私に聞いてくださるのが嬉しくて、私はいつも必死で答えを探すのです。
「…そんなときは、私の呪文で倒します」
「あ、そうね。それなら間違いないわね」
「ええ、エッダさんをお守り致しますから」
「うふふ、頼りにしてます」
あ、今、うっかり本音が出てしまいました。
でも、エッダさんは大して気に留めてらっしゃらないようです。
ほっとした、というか、
えっと、残念というべきか……。
普通に流されてしまいました。
私はいつもこうやってクリフトに話し掛ける。
そうすると、真面目なクリフトはしっかりと応えてくれる。
それがとっても嬉しいんだけど。
あ、今、クリフトがさらっと嬉しいことを言ってくれた。
でも、それをきちんと取っても多分後でがっかりするハメになるのよね。きっと。
「私、クリフトには剣では負けないつもりだけど」
「はい」
「呪文じゃあ勝てないから、だから、クリフトに頼るわ」
「…はい!」
真面目なクリフトは思い切り気持ちよく承諾してくれた。
何だか女の子になったような、気分。
いや、女なんだけど。
でも守ってもらえるような感じで、嫌じゃないな。
そ ん な こ い の は な し
きゃーはずかしー!
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